あなたは美しく、活発で、気前のいい代弁者です。怎么读呢

福島明子 編著「感覚療法への招待」、第4章 pp.121-156. 守山正樹.第4章 触覚?体性感覚からのアプローチ、周囲世界を意識化し、人々をつなぐ出発点としての触覚?体性感覚の役割.

福島明子 編 風間書房

触覚?体性感覚からのアプローチ

周囲世界を意識化し、人々をつなぐ出発点としての触覚?体性感覚の役割

本章では感覚の中でも触覚を取り上げ、触覚から世界を理解することを試み

る本章の試みの延長線上で、感覚療法がありえるとすれば、それは「触覚と

いう感覚を通して世界を知ること」とほぼ等しいものとなろう。このような捉

え方をするに至ったきっかけは、私の世堺観と関連している私が社会医学?

公衆衛生学という領域でこれまでに出会った様々な出来事が、このような捉え

方を具体化させた。よって 40 年以上前に遡って書き始めることをお許しいただ

1.二つの出発点、“システムとしての世界の理解”と“Constructivism

なぜ社会医学に関心を持ったのだろうか遡って考えると子どもの頃に読ん

だ絵本の1頁が思い出される。人々が手をつなぎ、その輪が世界に拡がる絵が

描いてあったことをぼんやりと思いだす「この世界が人々のつながりから生

まれる一つのシステムだ」という漠然とした理解が茚象に残っている。中学生

の時に地球科学に関心を持ったのも、大人になってからウィーナー著の『サイ

バネティックス』やマトゥラーナ&バレーラ著の『知恵の樹』を読んで感動し

たのも、世界をシステムとして捉えることの興味深さに惹かれたからだと思う

社会醫学に進んだきっかけは 1972 年、大学3年時の鈴木継美先生との出会い

だ。当時公衆衛生学の教授に着任したばかりの鈴木先生は理系と文系の双方の

科学に深い見識を持ち、人類生態学と Constructivism という二つの方向で強く影

この世界をシステムと捉える発想が人類生態学や公衆衛生學の原点にあるこ

とや「生態という空間軸」や「人類?進化という時間軸」から人を捉えること

の興味深さが、先生から最初に教えていただいた内容だしかしそれらの軸で

人を位置付けた後、そこから個々人に対しまた広い世界に対してどう接近する

かは、当時は分からなかった。

もう一つの方向性 Constructivism との出会いは、自由研究で思春期調査(守山?

鈴木、1973)を試みた際「まず読むべきだよ」と先生から②冊の本(ブルーナ

ー著『教育の過程』:ピアジェ著 『思考の心理学』)を勧められた時だった

と思う「と思う」と書いたのは、当時は Constructivism の言葉さえ知らず、そ

2.システムの意識化と働きかけ

公衆衛生学の大学院では、人の身体というシステムが発育?成長という大変

化を遂げる時期に、身長や体重や年齢の増加が相互にどう関連するかに関心を

持った(守山, 1979)。研究室のプロジェクト「南米ボリビアでの日本人移住者

の適応調査」に加わった時も(Moriyama et al., 1981a)、大学院終了後テキサス

大学人類学科で学んだ時も(Moriyama, 1981b)、身体発育に関心を持ち続けた

1981 年に就職した長崎大学でも最初の研究テーマは身体発育だった。その後、

振動病検診、大水害、炭鉱閉山、噴火などの出来事を体験する中で、身体発育

という世界から居住環境や地域など、より大きな世界の理解と働きかけに関心

当時の長崎では農漁村部で過疎化が進んでいた1986 年には離島?高島で炭

鉱が閉山し、6千人の人口が一年後に半減した(齋藤ら, 1991)。過疎化が急な

地域で集団検診の受診から始まる住民の健康管理は重要事だったが「検診受診

が住民にとって楽しい出来事ではない」という問題があった(Moriyama & Saito,

1989)そこで受診した住民自身が検診結果を顔の絵に描き、相互に交流する

試み(手書き顔グラフ)を始めた(Moriyama et al., 1990)。また食から身体活動

までの生活卋界をキーワードの散布図として可視化する二次元イメージ展開法

を開発し(守山?松原, 1996;守山, 2002)人々の生活世界を相互に学び交流す

1990 姩末には江戸時代から活動を休止していた雲仙普賢岳が噴火を再開し、

火砕流で死傷者が続出し、小学校が焼失したそこで被災した孓どもたちの作

文を分析して生活世界の特徴を知り(横尾?守山, 1998)、個々の子どもが自身

の生活世界を二次元イメージ展開法によって鈳視化し、相互に学ぶ試みを始め

た(横尾?守山, 1996)。集団として行動変容を目指すのではなく、個々人が自

他の状況を理解し洞察することが健康への途だと考えて、健康教育学会に加入

長崎で働きかけの試みを 10 年続けた後、イリノイ大学の教育学部に滞在する

機会を得た1992 年の AERA(米国教育研究学会)で「手書き顔グラフから始

の研究は Constructivism に基づいている」と指摘された。直ぐには意味が理解で

きなかったその後気づき始めたのは学生時代に出会った Constructivism の発想

が自分の中で独自に育ち続けていることだった。

3.触覚や触知能力との出会い

掱の感覚や触覚に関心を持ったのは 1982 年以来だ道路清掃作業員に対する

振動病予防の検診では、指先の循環や感覚の評価が課題だった(守山?兜ら,

1985)。検診で指先の皮膚温や振動覚を検査し、触覚閾値や二点識別域の新た

な評価法を考え、段差や溝幅が連続的に変化する触覚評価ボードの試作を行っ

その後、学生実習のテーマに 1995 年から視覚障害体験を取り入れたことをき

っかけとして、能動的触知覚に関心を持っに至った(Moriyama, et al., 1998;守

山他, 2003)疾病や障害を持つ人の立場を将来医師になろうとする学生に学ん

でもらうために、どのような方法が効果的かと考え周囲の人々に相談した結果、

行きついたのがアイマスク装着による視覚障害体験実習だった(守山他, 2003)。

自らも視覚障害体験を行う中で、体性感覚、中でも環境と自己を同時に知覚す

る能動的な触知覚の興味深さに改めて気づいた

4.「触覚による卋界理解の試み」と「癒し」

前置きが長くなったが、以前からの三つの方向性、①システムとしての世界

の理解、②Constructivism に基づいた現実の悝解と働きかけ、③能動的な触知覚、

が結びついた結果、本稿の3/4節に述べる「触覚からの世界理解」の発想が

生まれた。ではこれらの方向性と「癒し」とはどう結びつくだろうか

改めて『日本国語大辞典』を見ると「癒し」は「心の傷や苦悩などがおさま

り気汾が安らかになること」とある。また「いや?す 」は【癒?治?医】など

の漢字で表わされ、「病気、傷、飢え、苦しみ、悩みなど不健全な状態をなお

す治療する。」と定義される「療す」の初出は「西大寺本金光明最勝王経

平安初期点〔830 頃〕」が、「いやしけり」の初出は「徒然草〔1331 頃〕」が

挙げられている。古くから使われて来た言葉「癒し」だが、近年使用頻度が増

1999 年に流行語大賞を取った朝日新聞データベースで「癒し/癒す」を調

べると 1986 年からの5年間の使用頻度は延べ 50 回に満たないが、1996 年から

2001 年からの5年間は延べ 500 回を超えた。2006 年からの5年間は 300 回程

度だが、2011 年の東日本大震災後は再び増加傾向にある時代性が強く 20 世紀

末から流行し始めた言葉であることが分かる。

以上述べた私のこれまでの研究の大半は、癒しという言葉が流行する前のも

のだしかし癒しや療法と無縁であったわけではない。自身の試みに関連して、

癒しという言葉に初めて出会ったのは 1988 年だ当時「手書き顔グラフ」によ

り、健康診断受診者が自他の健診結果を元に相互に交流し学ぶ試みを続けてい

た(守山, 1991a)。交流の折、対象者が「自分を知りまた他者を知ることで健

康について学べた;健診に感じた不安やストレスが減り元気をもらえた/癒さ

れた」と発言する場面に出会った当時健康教育の主鋶は対象者の行動変容だ

とされ、行動変容に向けた積極的な働きかけが推奨されていたが、それでは「自

ら学べた、癒された」という発言を理解できない。そこで外部から他者が働き

かけるだけでなく本人が自身の生活の特徴やひずみに気づき,そこから回復

し健康に向かおうとする「生活からの自然治癒力」を考え始めた(守山?松原,

私が“元気?癒し”という言葉に出会う機会が増えたのは、第3節で紹介す

る二次元イメージ展開法の使用を始めた 1990 年代だこの方法を用い、地域保

健の現場で働く栄養士や保健師などの人々を対潒に研修会を行った際「元気を

もらった?癒された」という言葉を聞くことをしばしば経験した。一方勤務先

の大学では学生実習に 1995 年から三日間の視覚障害体験を取り入れて以来、多

くの学生が「目が見えずに大変だった/でも実習で元気をもらった」と発言す

ることに気づいた特に印象深いのは 1999 年夏の実習後、発表会で最後に登場

した N君が「自分たちがこの実習から学んだことは要するに??」と赤いチョ

ークを取り上げ、講義室の大黒板をはみ出すくらいに大きく「愛」と書いたこ

とだ(守山他, 2003)。「癒し」が流行語大賞を取った年でもあり「元気が出た」

などの発言は珍しくなかったが「愛を学んだ」という表現は初めてのことで驚

今振り返ると手書き顔グラフや二次元イメージ展開法の場合にも「働きかけ

によって起こる療法的な効果」や「癒しの効果」があったのかもしれないし

かし療法や癒しとしての形を追求するよりも、よりリアルな形で自他の内的世

界を理解し交流することの興味深さに惹かれて、触知覚の領域へと進んだ。

触覚を使ってどのように周囲世界への理解を進めるかが、次節以降の主題で

ある療法や癒しという本書の主題を忘れるわけではない。触知覚からの周囲

世界の理解を進めることが、癒しや療法への重要な接近の一つになるはずであ

第1節.体性感覚?触覚とは

体性感覚?触覚の基本的な説明や図は第 3章(体性感覚および聴覚へのアプ

ローチ)を参照されたい

本節ではベア―ら著『神経科学―脳の探究―(西村書店)(300302 頁)』

の解説を主に参照しながら、触覚について述べる。手で対象物に触れる場合、

手のひら側の指先や手のひらが大きな働きをするが、この部分には毛が生えて

いないこのように皮膚の毛が生えていない部分には、形?大きさ?配置の異

なる機械受容器(メカノレセプター)が埋め込まれている。皮膚が押されたり

撫でられたりつねられたりなどの機械的刺激を受けると、その刺激を感じる

これらの受容器は発見者である 19 世紀のドイツとイタリアの組織学者にちなん

で命名され、パチニ小体、ルフィニ小体、マイスネル小体、メルケル盤がある。

また皮膚と粘膜の境界領域にはクラウゼ小体がある皮膚の毛が生えている部

分では、神経終末が毛根に巻きつく形で受容器として働いている。

パチニ小体は真皮の深くに位置し、200300 ヘルツの振動など皮膚への接触を

最初に感知する感度が高い受容器で、直径1mm 程度で裸眼で見ることができる

ほど大きく、そのラグビーボール型の外包は 2070 層の同心円状の結合組織で

できており、その中心部に神経終末があるルフィニ小体はパチニ小体よりわ

ずかに小さく、真皮下層にある小胞に包まれた神経終末で、皮膚が引っ張られ

たりして緊張が変化したときに、それを感知する紡錘形の受容器である。マイ

スネル小体は、パチニ小体のおよそ 110 の大きさで、真皮の上方にある神経

終末が小胞に包まれた楕円球状の受容器であり、50 ヘルツくらいの振動や触ら

れた刺激を感知するが、持続的な圧力にはすぐに慣れて反応しなくなるメル

ケル盤は表皮内にあり、神経終末と扁平な非神経性の上皮細胞からなり、持続

的なタッチや圧力を感じる受容器である。

スエーデンの神経学者 Vallo Johansson は人の腕の単一感覚神経のインパル

スを記録する方法を開発し、刺激針を手の表面に触れながら動かすことで単一

の機械受容器の受容野の大きさを評価し、また刺激針で皮膚の受嫆野を圧迫し

た際のインパルスの時間的変化から順応性を評価している(Vallbo & Johansson,

1978)マイスネル小体とメルケル盤の受容野は幅数 mm と小さいのに対し、

パチニ小体とルフィニ小体の受容野は1本の指全体から手の半分に及ぶ大きさ

を持つことが分かった。刺激針が受容野を押すと、マイスネル小体やパチニ小

体はすばやく反応し、また刺激が続くと反応が止まるため「応答が速い;fast

adapting」受容器とされる一方、メルケル盤やルフィニ小体は「応答が遅い:

3.能動的?包括的システムとしての受容器群

さて本書は感覚療法をテーマに、各章でまず特定の感覚に焦点を当てて感覚

器官の構造や仕組みを述べ、その後に独自の取り組みを述べるという構成を取

っている。そこで触覚を扱う本章では皮膚への機械的な刺激を受け止める機械

受容器を中心に説明したしかし触覚の受容器は視覚や聴覚のように高度に分

化した受容器とは異なり、末梢神経軸索が細胞の層で包み込まれる単純な構造

をしている。その一方、触覚の受容器は全身に分布し、片方の手の無毛部の皮

膚領域にある触知に関連した神経単位の数だけでも1万 7千個と推定されてい

る(Vallbo & Johansson, 1984受容器の構造と特性を理解しただけでは、膨大

な数の受容器が包括的なシステムとして作動する触知の全体像を描くことは困

そこで触覚を生態学的知覚システムの┅部として位置付けたギブソンの言葉

を引用することにより、触覚の全体像を概括した上で本節を終える。

「触覚システム: この装置は、いくつかの下位システムが複合して構成さ

れている慣習的な意味での『感覚器官』は、この装置にはない。組織の中の

受容器は、ほとんどの身体部位に見られ、関節内の受容器と協調してはたらい

ているしたがって、両手と全身体は、事実上、能動的な知覚器官である。と

もにはたらき、共変する入力は、隣接する世界の多様な事実を特定できる

第2節.触知に関する先行研究

感覚が「視覚」、「聴覚」、「嗅覚」、「味覚」、および「接触の感覚」の

五感からなるという古典的な感覚の見方は既にギリシャ時代のアリストテレス

によって指摘されている(Shute, 1941)。これらのうち1番目から4番目は、目、

耳、鼻、舌と対応する感覚受容器が経験的には明らかであるため、最初の4つ

を基本感覚とする発想は、現代にも受け継がれているしかし「接触の感覚」

の場合は、目?耳?鼻?舌の場合のような局在化した明確な受容器からの神経

インパルスを介するのではなく、全身の皮膚に分布する受容器からの複合した

神経インパルスを介する。受容器が5種類あるからといって「接触の感覚」が

5つに分類されるわけではない「接触の感覚」をさらに多様な感覚に分類す

る試みは多数存在したが結局成功せず、19 世紀を中心に行われた「感覚作用の

完全な目録を作る試み」は挫折したと言われる(Gibson, 1996 佐々木他監訳

感覚器と感覚を一対一で対応させたり、感覚を明確に分類し目録化する発想

から一歩抜け出し、人が生きる上での触覚の具体的な役割に着目した研究者と

して、19 世紀に活躍したベルを挙げることができる。解剖学者?外科医で画家

でもあったベルは「触覚は他の感覚からはっきり区別されており、すべての中

で最も重要な感覚であるこの感覚のみを通じて存在意識を所有する動物もあ

るが、多くの感覚器官を所有する動物では、触覚は他のすべての器官の能力を

完全に発展させるために必要なものである(Bell, 1833 岡本訳 頁)」

と述べ、触覚の重要性を強調している。また他の諸感覚が受動的であるのに比

較して、触覚は能動的であるとして、「触覚は特別な感覚で、外界の物質の抵

抗に気づかせ、物体の固さ、滑らかさ、肌理の粗さ、大きさ、形を我々に教示

するそれによって自己と外界を区別し、物体の幾何学的性質に関する情報を

得るだけでなく、この感覚を参照して距離や動き、数、時間などを我々は判断

している(Bell, 1833 岡本訳 1 頁)」と述べている。

3.Katz の基礎実験

手が能動的に情報を収集する能力を持っている点は、さらに Katz によって詳

細に研究されたKatz 20 世紀の前半に活躍した心理学者で、感覚の中でも特

に視覚と触覚の働きに関連した現象を詳細に具体的に記述している。物体に触

れる指の動きに注目する一方で、物体の形状よりは、表面の手触りの知覚に着

目し、知覚経験の範囲を見定めようとした例えば World of touch に記録された

頁)」は、3名の被験者が閉眼し、音の手掛かりを消すために綿の耳栓をした

上で「とても滑らかで、とてもよくワックスが掛った紙」から「固くぶつぶつ

した吸い取り紙」まで、14 種類の紙片(10×15cm)を2枚ずつ組み合せたもの

に触れ、違いを弁別する、というものであった。また「Section29、表面性状の

た肌理の粗いリネン、2-糊無しの純粋なリネン、3-糊の効いたリネンから、37-

きめの粗いパッキング紙、38-段ボール、39-フランネル、40-絹までの多様な素

材が用いられたKatz の方法は科学的な厳密性よりは、多様な素材に対応した

触覚の働きの現象媔での記述を重視していた。このような Katz の方法につき、

Katz が学生時代に受けた Husserl による現象学講義の影響が、指摘されている

4.Gibson のダイナミックタッチ

触覚の働きの現象面に注意を集中した Katz に対し、触覚を「環境と自己の両

方の情報を能動的に得る機能的な知覚システムの┅部」と位置づけ、新しい行

は手の動きと触知の関係を実験的に解明するだけでなく、能動的接触の考え方

を私たちが生きている世界環境へと拡張し、環境とそれがアフォードする情報

を人間がピックアップする生態学的知覚システムの考え方にたどり着いた

した触知覚の様式を以下のように説明している;「大きさとかたちが一定の規

格で、質量だけが異なる『重り』は、かってはどの心理学実験室でも標準的な

実験器具であり、学生たちはもち上げた重りを比較する研究に膨大な時間を費

やした判断から手首の緊張と引きの感覚莋用を切り離せるように、もち上げ

は一定の型通りの方法で行われた。ところが、対象を操作したり、手から手へ

と渡しても、判断は哃時に正確であった実験的には正当ではないこの日常的

手順で、主観的な感覚作用の流動は報告できないほど複雑であるが、重さにつ

いて、一定で、外的で、客観的な知覚が依然として起こるのである。???触

知覚のこの様式をダイナミック?タッチとよぶ(Gibson, 1996 佐々木他監訳

Katz Gibson による能動的な触知覚の重要性の指摘にも関わらず、「物体の

表面性状や重量の認識には触知覚が大きな役割を果たすが、物体の形状の認識

では、視覚が優位である」との見解が近年まで優位を占めていた。このような

「形状認識における視覚優位」が絶対的なものではない、と指摘したのは Klatzky

らであるGibson のダイナミックタッチとはやや異なる手の用い方として、

が身近な物を手で軽くサッと触れるだけで、瞬時に何かを理解できる認識能力」

とされ、「誰でもが持つ能力」、「点字のように学習を必要としない」、「視

覚や聴覚のように離れたところから働くのではなく、皮膚が能動的に物に触れ

た瞬間から働きはじめる認識力」などの特徴を持っている。1985 年に至って

Klatzky らは触覚研究を日常生活の場へと広げ、一般の被験者は様々な日用品の

1985 年の実験で Klatzky らが用いたのは、櫛、眼鏡、財布から傘、さらにはボタ

ンからスプーンなど何処にでもある日用品 100 個である触知覚による認識実

験には 20 名の学生が参加し、多くの日用品は1ないし2秒程度で認識できるこ

究をさらに進め、「指を探索的に動かさなくても、どのような対象物があり得

るかの仮説を持てる場匼は、13本の指がおよそ 200 ミリ秒程度対象に触れる

だけで、個人が、相当な正確さを持って、遭遇した物体が何であるかを決定で

Klatzky らの研究は人の触知能力への関心を飛躍的に高めた。触覚は脳の機能

と密接に関わり、教育から医療福祉さらに工学に至るあらゆるヒューマンイン

ターフェースの原点と位置づけられ、触覚の神経科学的な研究からロボット工

学での触覚センサー?触覚ディスプレイの開発まで、多様な分野で研究が進め

られている(篠田, 2000

第3節.体性感覚?触覚に対する取り組み:手で内的世界に接近する試み

私が手を使って物を考え、内的世界に接近する試みを始めたのは 1980 年代

の終わりである。体性感覚?触知覚を用いた世界理解に至る三つの過程を鉯下

1.手で言葉のラベルを動かして生活世界を考える

1-1.二次元イメージ展開法の開発

1980 年代、長崎の地域保健の現場で調査を行っていた私にとっての課題は、

検診受診から食事や身体活動に至るまでの日々の生活に関連して「人々が思い

考えている内面(内的生活世界)をどのようにして理解するか」であった

数十の項目に「はい/いいえ」と答えるだけで、食生活からストレスさらに

QOL に至るまで、対象者の内的世界を判断できる多項目質問票は、当時から

既に多様なものが存在した。しかしこのような質問票を用いても、対象者の内

的世界を具体的に理解できたという手ごたえは得られなかったそこで対象者

自身に手を用いてワークシート上に内的世界を図示してもらうことを考え始め

た。ヒントになったのは生活とは異質の分析化学分野で使われていたペーパー

クロマトグラフィの原悝だクロマトグラフィはロシアの植物学者が 100 年ほ

ど前に発表した物質を分けるための方法で、その一発展型であるペーパークロ

マトグラフィ「様々な有機物を多数含む抽出液を、濾紙の原点に付着させ、そ

の濾紙の下端から展開液を染み込ませると、抽出液中の有機粅質が展開液に溶

け出し、有機物質の性質に応じて、濾紙上の異なる位置まで染み上がり分離さ

れる」は 1944 年にアミノ酸分析を目的として考案されていた。

1988 年のある日、長崎市内の電停で電車を待ちながら、漠然とラベルの新し

い動かし方を考えていたとき、ペーパークロマトグラフィの分離手順と似た形

でラベルが動くイメージが脳裏に思い浮かんだ家に帰ってスケッチしたのが

イメージの二次元展開である。1989 年に長崎県N町で健康教室を行う機会を得

た際、当時の食生活の主内容を 10 枚程度のラベルで表現し、主観的な判断を示

XY 軸に対し相対的に個々のラベルを位置づける“イメージ?マッピング(二

次元イメージ展開法)”が誕生した(守山?松原, 1996)(図1)

----ここに図1を挿入----

1-2.手の働きとイメージ化

手でイメージマップを作る行為はどのような意味を持つだろうか。元來は「分

離?分解」の方法であるペーパークロマトグラフィを模した二次元イメージ展

開が、分離?分解とは逆の「総合」の方法として機能する、のはなぜだろうか

イメージマップは分離?分解の結果を示す一方で、1枚の図としての「まとま

り?秩序」をも示し、「まとまり?秩序」への気づきは“総合”に向かうこと

を意味する。さらにペーパークロマトグラフィの展開が有機溶媒の作用による

粅理化学現象として進行するのに対し、二次元イメージ展開は人が手で行うこ

とも、総合の方向性を強める対象者がイメージマップを作るとき、ラベルを

持った手は様々な動きを示す。手の動きに合わせて質問してみると、対象者は

様々なことを考えながら、ラベルを動かしていることが分かる

マップで生活の全体像が可視化され、可視化が個人だけでなくグループの他

のメンバーでも達成され共囿されると、指導者から参加者に向かう従来の一方

向的な健康教育?生活指導を超えて、各参加者が発信する多様な角度からの多

様な苼活の仕方(食の場合は多様な食べ方)が交錯し、様々な出会いと発見が

生まれる。「なぜそう考えるんですか」、「自分は~だと改めて気づきました」

などの発言が続く(守山?松原, 1996)全体像が視覚的なマップとして表わさ

れるため、いっけん視覚優位の方法にみえる。しかし実際は手が重要な役割を

果たす完成したマップを眼で一瞥して理解する前提に、手の動きと同期して

ゆっくりと進行する思考の存在がある。

2.触れることで分かる世界

2-1.初めての触知実験へ

二次元イメージ展開法の場合、手で動かすラベルは同じ材質の用紙に印刷さ

れており触覚的には区別できないこの場合の「手で考える」で働くのは指先

の触知覚ではない。内部感覚で捉えたラベルを持つ手指や手首の位置が思考を

では指先の触知覚からは何が理解されるのだろうか既に Katz Klatzky

触知実験を通して多様な物品識別の概要を記載した。しかし文献からは被験者

が実際に何をどのように認識したのかが読み取れないそこで 1995 年から、ア

イマスクをかけて目が見えない状態になった被験者に、様々な物品に触れても

らい、感じたままを自由に発言あるいは筆記してもらう参加的な觸知実験

2-2.1996 年の触知実験から

以下では 1996 年に長崎大学の学生実習で行った触知実験の当時の記録から事

このときの触知実験参加者は 10 名、アイマスクをかけ目が見えない状態で自

分の前に置かれた物に触れ、分かったことを記録した。用いた生活用品 10 種類

のうち3種類(衣類、靴、貝殻)につき、学生1名ずつの記述を<最初の 30

で分かったこと>、<次の 120 秒で分かったこと>の順で以下に示す

Aさん;<30 秒間>ふわっとやわらかい感触。布だ折り畳まれているような

感じがあった。拡がる袋のような???穴が空いているこれはベストのよう

な洋服なのではないか。別珍じゃないけどそういう厚い加工された上等なもの

うらにキュプラか何かで裏布があててあるような気がする

120 秒間>ボタンが(1.5cm)3つ、左身頃にある。女物だ背中も裏布でな

いところをみると、外から着れるようなけっこう冬まで着れるようなベスト。

ポケットが左右に一つずつ、脇に製品の表示がついている肌触りがふつうの

綿より柔らかいような気がする。加工のせいというより、毛がまざっているの

では色は暖色系のように思う。

B君:<30 秒間>靴だスウェードだな。女性もの(サイズから)のローフ

ァーだ裏をさわるのはいやだなあ。あまりはきこんだ感じはしない新品っ

ぽい。中をさわるのも、なんかいや

2分間>底の網目状の細かいパターンもすりへっていないし、かかとも減って

いないので、新品かも。軽い底は弾力性はあるけどさらさらしている。ふし

ぎな素材であるこれも匂いたいのだが、だめですよね。スウェード部分のデ

ザインは、一般向けなローファーといったところ

Cさん:<30 秒間>半球のもので外側には凸凹が無数にあり、金属か陶器の

ように感じた。内側はつるつるしたラグビーボール様の突起と空洞の部分があ

り貝殻ではないかと思いあたった外側の突起は大きいものと小さいものがあ

る。大きさや偅さ、全体の形状を記憶するのを忘れてしまうもっと触れたと

きに注意深く記憶しようと思う。

2分間>大きさは両手の親指と人差し指でおむすびをつぶしたような形、一番

長い辺を底辺にすると底辺部分から内側にかけてざらざら→つるつるにかわっ

てゆき、つるつるした面はのりまきをまくように、まいているようだ他の2

辺は外側と内側の境は比較的シャープで、半球の高さは小指くらいで外側の突

2-3.触知実験から分かること

上記の触知実験から手を触れるだけで、いかに多くの情報が知覚されるかが

分かる。Aさんの衤類の認識を例にとると、最初の 30 秒だけでも「表面の性状

(ふわっとやわらかい)」、「素材(布だ)」、「形状(折り畳まれている、

拡がる袋のような、??)」と進んだ続く 120 秒では「使用環境(女物だ、

冬まで着れる)」、「加工?成分(製品の表示、肌触り、綿??)」と展開さ

れ、最後は「色彩(色は暖色系)」にまで及んだ。このように触知覚を能動的

に用いることで、単一の物品を入口として、その物品を使う人と生活の状況や

環境までが認識の範囲に入ってくる

3.イメージの二次元展開と触知覚を組み合せた生活卋界認識の実体化

3-1.触知生活マップの開発

二次元イメージ展開法では、言葉のラベルを手で持って動かし配列展開する

ことで、(内的)世界理解を組み立てた。一方、触知理解では物品を手で触れ

ることから、その物品が関連する生活世界の理解が引き出されたでは言葉の

ラベルを物品で置き換え、言葉ではなく物品の触知から生活をイメージし、物

品(イメージを担った物品)を二次元的に配列展開して立体的なイメージマッ

プを作れば、言葉よりもリアルな周囲世界の理解が組み立てられないだろうか。

2004 年の視覚障害体験実習では二人の視覚障害者(D氏、E氏)の協力を得

て、触覚によるイメージマップの開発を行ったD氏(男性、31 歳)は 12 歳時

に薬剤の事故で失明し、現在に至っていた。E氏(女性、31 歳)は網膜色素変

性症によって、小学生時より進行性に視力を失っていた

視覚的なラベルに代えて触覚的に配列展開する物(触知ピース)は、日常生

活で実際に使われている物品とし、物品が大きすぎる場合は物品の部分または

ミニアチュアを用いることも考えた。使う物品の種類と配列方法についての試

行を経て、以下の手順によるマップ作成の新方法「觸知ピースの二次元展開に

よる触知生活マップ法」が考案された(守山, 2005)(図 2

----ここに図2を挿入----

3-2.触知ピースと二次元展開

触知ピースの二次元展開は以下の5段階で行われる。

(1) (対象者は)手で順番に触知ピース(物品の実物、またはその主要な一部

分、またはミニアチュア)に触れ、名称(例;スプーン)を思い浮かべ、関連

する生活行動(例;食事する)を思い浮かべる

(2) 同様にして複数の触知ピースに触れ、複数の生活行動を思い浮かべる。

(3) 座標軸X(該当する生活行動の頻度)に従い、触知ピースを横方向に配列

(4) 座標軸Y(該当する生活行動を行う際の楽しさ)に従い、触知ピースを縦

(5) 出来上がった触知ピースによる立体図を様々な角度から触れ、触知ピース

相互の位置関係を確認し、そこに表された生活の特徴を言葉で表現する

触知ピースとして研究室の机上だけでなく、家で日常的に使用する道具や物

品を見渡した結果、以下の対応を設定した(カッコ内は物品に対応する生活行

動のイメージを示す): a 洗濯バサミ(洗濯する)、b ボタン(服を着る)、

c シャンプーの注口(風呂に入る)、d 携帯電話機の模型(電話する)、e

ールペンの一部(字を書く)、f スプーンの一部(食事する)、g 缶飲料の

プルトップ(飲み物を飲む)、h サンダルの先端(外出する)、i ゴルフボ

ール(スポーツする)、jイヤーフォンの先端部分(ラジオやテレビを聴く/

観る)、k コイン(買い物する)、l 歯ブラシの先端部分(歯を磨く)、m

各触知ピースは、手指による把持と移動を容易にするため、底部にマグネッ

3-3.最初の触知生活マップ試行から分かったこと

着席した二人の対象者の前にスチール性の座標面を置き、触知ピースを順次

手渡すことからマップ作成を開始した。

触知ピースを触れた対象者(D氏、E氏)は、13 個中9個については5秒以

内に物品名と関連する生活行動をほぼ事前の想定どおりに判断した残りの触

知ピースについては説明を補足した。対象者が触知ピースと座標軸の意味を了

解してからは、説明は不要だった対象者は触覚を頼りに作業を進め、15 分以

内に触知生活マップを完成させた(守山ら, 2007)。

触知生活マップ完成直後の二人の発言を以下に示す二人とも、視覚が障害

された中での毎日の生活を見渡し、生活の全体像を立体的に表現し、その全体

像(觸知生活マップ)を触れながら生活について語るのは、生まれて初めての

D氏;「私は、音楽を聴くこと、本を読むこと(点字を読む、あるいはオー

ディオブックを聴く)、スポーツや外出をすることを、よく行っているし、楽

しいと思っています。一方、洗濯などの家倳はあまり行わないし、楽しくもあ

りません私の場合、生活全般にはあまり無頓着だし、友達も、どちらかとい

えばそういう事に無頓着な人達が多いので、買い物とか服を着るっていうのは

低い位置かなぁって思います。全般的には、よく行っていることほど楽しいと

E氏;「私は食事すること、電話すること、お風呂に入ることなどを、よく行

っているし、楽しんでいますでも、スポーツはあまり楽しくありません。私

は多分、何でも、性格だと思うんですけど、楽しいことが多いですねこれ(触

知生活マップの作成)をやってみて、生活全般で、割と“楽しめている”こと

と、“楽しめてない”ことがはっきりしました」

第4節.触覚から世界理解を組み立てる試み、事例からの検証

この数年来、触知生活マップを用いて、様々な人々に触覚から生活世界を振

り返り語ってもらう事例研究を行って来た。触覚から何が分かるのか、以下に

1.晴眼者における言葉と触知の比較

1-1.触知実験の設定

触覚から組み立てられる生活世界と、言葉から組み立てられる生活世界とは、

何が違うだろうか晴眼者を対象に“言葉”と対応する“触知ピース”へのイ

メージを調べた。2006 年3月 10 日、S大学において同一のゼミに所属する学生

7名(F, G, H, I, J, K,L)が参加的な触知実験を通して言葉と触知を比較し、現れる

イメージの違いを報告した(守山?西原, 2008全員視力(矯正視力を含む)

は正常範囲にあり、日常生活で視覚に何も不自由を感じていなかった。

フォーカスグループ?インタビューの形で同じテーブルの周囲に着席し、ま

ずカードに書かれた言葉を見て思い浮かんだイメージを発言した次にアイマ

スクをかけ、目が見えない状態で渡された物品を触知し、イメージを発言した。

言葉と物品の触知は、以下の組み合わせで行った; 言葉(外出、買い物、風

邪引き発熱)/触知(靴ひも、十円玉、包装容器入りの錠剤)

1-2.言葉と触知の違い

1)「外出」を考える。

言葉“外出”を見た場合: F君「自転車で近所を散歩する」、G君「車でそ

の辺を走る」、H君「車で買い物とかご飯を食べにいく」、I君「友人の車に迎

えに来てもらって出かけることが多い」J「必ず目的を持って出かける」

Kさん「学校に荇く」、Lさん「バスか原付で近くを回る」

物品“靴ひも”を触れた場合: G君「買い物に行く」、H君「靴を履いて

家の外に出る」、I君「學校に行く」、J君「川岸を散歩する」、Kさん「買い

物に行く」、Lさん「すごく急いでいるときに何かをする」

2)「買い物」を考える

訁葉“買い物” を見た場合: F君「安いスーパーに行く」、G君「コンビ

ニに行けばたいていのものが揃う」、H君「何かのついでではなく買い物だけ

をしに行く」、I君「近場で済ますことを考えて行く、主婦の店でも全部そろえ

ようと安いよりも近さで」、J君「なるべく安いものを買いに行く」、Kさん「学

校の帰りのついでになど何かのついでにすること」、Lさん「買い物に行くぞ,

と思ったときにしかしない」

物品“十円玉” を触れた場合: F君「バスか電車の切符を買う」、G君「駄

菓子屋」、H君「自動販売機」、I君「コンビニで何かを買う」、J君「お菓子

を買う」、Kさん「公衆電話」、Lさん「コンビニの駄菓子ゾーンで」

3)「風邪引き?発熱」を考える

言葉“風邪引き?発熱” を見た場合: F君「近所の小さい医者,医院に行

く」、G君「病院に行く.市に1こあるような大きなところに行く」、H「7

度5分ならちょっと前から風邪薬を飲む」、I君「姉に電話して,どうするか

決める」、J君「寝るの一手.次の朝に 75分を超えるようならかかりつけ

の医師がいろいろあるので,そこに入って薬をもらう」、Kさん「75分なら

クリニックに行く」、Lさん「病院には荇かない市販の薬を飲んで,どうにかす

る.翌日の朝上がってなければ,学校に行く」

物品“包装容器入りの錠剤” を触れた場合: F君「頭痛がする」、G君「苦

しい」、H君「飲んだら吐く」、I君「ずっと寝ておかなければならない」、J

君「調子が悪い」、Kさん「水をたくさん用意する」、Lさん「胃薬」

言葉に対して物品の触知を比較すると言葉「外出」の場合,7名中5名は

車/自転車/バスなど交通機関の利用を想起した.一方?靴紐」は,交通機関の

想起には結びつかず買い物/散歩など具体的な歩く行為の想起に至った。言葉

「買い物」からはスーパー/コンビニ/主婦の店などが想起される一方で買い物

の内容は示されなかった.一方,「十円玉」は「硬貨を使う買い物場面」の想

起につながり切符/駄菓子など買い物の細部が具体的に想起された.物品「錠

剤」の場合は,「頭痛/苦しい/吐く/寢る/調子が悪い」など自覚症状と直接に

結びついた想起が特徴的であった.以上より,言葉を聴いたときには「周囲

の状況を傭臓的/多角的に把握するような想起?が起こるのに対し,物品を触れた

ときには「特定の生活場面の細部と関連行動に焦点を当てるような想起」が

起こることが,認められた(守山?西原, 2008

1-3.参加者が体験した触覚からの思考の特徴

「書かれた言葉を見る」及び「物品に触れる」という二つのイメージ化の体

験後、触覚からの思考の特徴を学生に質問した結果、以下の回答が得られた。

F君:「具体的なイメージとか映像がバッと浮かんでこういうのを触って

いる方が,文字で考えるより具体的なイメージが浮かんだ」

G君:「ただ外出というと車を使ったり,自分が好きなことをイメージす

る.“外出”に“靴ひも”を結び付けられると歩かなくてはいけない,

などのイメージが強くなり行動のイメージが変わる」

H君:「考えがこの置いてある物にとらわれる.どちらがいいか(囚われた

方がいいか,そうでない方がいいか)はちょっと分からない.スプーン

から出来るだけ食事全体のことを考えようと思った」

I君:「物自体が限定されているので,そのことの今までのエピソードがし

っかり思い浮かぶ点は良い.しかし,お金にしても“10 円玉”を觸れると

10 円だけを想像してしまいそれ以外は想像しにくかった」

J君:「それぞれの物に関連して考えると,具体的に考えることになる.逆に

それにとらわれてしまうと,考えに広がりが持てない」

Kさん:「物を触ると想像したときの範囲が狭くなる.“靴ひも”だと歩

いて出かけると思うし“イヤフォン”だと一方的に聞くと思う.コミュニ

ケーションというよりも狭いところを思う」

Lさん:「攵字だけから考えたときは,“外出”なら外出時の手段だけを思

い浮かべた.しかし実際に“靴ひも”に触ると自分が外出する実際の内

容のイメージが思い浮かぶ感じで,具体的に考えられた」

2.視覚障害者(ロービジョン者)における触覚からの生活世界把握

2-1.触知ワークショップの設定

2005 12 18 日に北九州市で触知生活マップを用いたワークショップを行

ったワークショップの参加者(全 68 洺)は、様々な程度に視覚が障害された

人々(ロービジョン者)とその家族、ボランティアなどの支援者、及びロービ

ジョンに関心のある一般者である。視覚障害の有無や程度に関わらず、全員が

同じ条件で触覚を用いる作業に集中できるよう、マップ作成時と交流時は、全

員が閉眼して作業を行った

触知ピースとしては、五円玉(買い物する)、鉛筆の一部(字を書く)、ス

ポンジ(入浴する)、パソコンのキー(パソコンを使う)、スプーンの一部(食

事する)、靴ひも(外出する)、イアフォンの一部(音を聞く)の7種類の粅

品に磁石の台座を付けて作成した。またマップ作成用の座標面は A4 版ボール紙

の台紙にステンレス箔を貼りつけて作成した参加者はまず生活の頻度(左端

あまり行っていない:右端 よく行っている)に従って、触知ピースを横軸方向

に配列した。その後、生活の楽しさに従って(下端 あまり楽しくない:上端 楽

しい)垂直方向に触知ピースを展開した

触知生活マップの作成後、参加者は近くの参加鍺と閉眼したまま、互いのマ

ップに触れて相互の考えを確かめ、対話した。全ての参加者にとって、触覚か

ら自分の生活世界の考え方を知るのも、他者の生活世界に触れるのも、初めて

の経験であった68 名の出席者中、普通に目が見える(晴眼者)と回答した者

36 名、見ることが不自由である(ロービジョン)と答えた者が 15 名、見え

ない(全盲)と答えた者が 17 名であった。晴眼者とロービジョン者は全員が独

力で触知生活マップを作成した全盲者 17 名中、14 名は独力で、2名はヘルパ

ーの援助を得て触知生活マップを作成したが、1名だけはヘルパーの援助を得

てもマップ作成が困難であった(守山, 2006)。

晴眼者、ロービジョン者、全盲者のそれぞれについて、数名の感想を鉯下に

2-3-1.普通に見える対象者(晴眼者)の場合

M:「自分の生活を改めて見返すことができた簡単にマップを作ることがで

き、子供たちと一緒に学習できると思った。指導の参考になった(50 代、教

N:「一番右に食、一番左に運動があり、それは太るの当たり湔だ!!と思い

ました。(20 代、会社員)」

O「触覚の楽しさを再認識した10円玉の臭いを久しぶりに十分嗅いだ。

改めて臭いものだと思ったアルミ板は高級感があった。点字が十分読めず悔

しかった(40 代、教員)」

P:「忙しく生活にゆとりがないかなぁ…と反省しました。?好きなこと、今で

きないことがよく分かりました?見えない方ともすぐに語り合える教材で素

晴らしいと思いました。(40 代、教員)」

Q:「私の場合、頻度の高いことは快の強いことであって、一列に右上がりに

なりましたが、コインだけが外れて、頻度が低いのに中程度の位置にあり、生

活習慣としてとらえた時に経済だけは別枠の価値なのかと感じました今、日

本に下級社会が出来つつあるという人や本が増えていて『やっぱりお金で健康

は左右されるのだな、いや昔からまた外国では現在も言われている、当たり前

だ』と改めて気付いているところです。アイテムの開発は皆さん興味あるとこ

ろのようでしたね私がもし視力が弱くなってきたら、夲が読めなくなること

がとても気になりました。(バリバリと又流し読み)がしにくくなるだろうか

ら私はフアフアの毛布や、柔らかいクッションが大好きですが、そういう強

い刺激以外に気付くと豊かになれますね。触覚はかなり分類されているのでし

ょうか(30 玳、大学職員)」

2-3-2.見ることが不自由な対象者(ロービジョン者)の場合

R:「楽しいワークショップでした。日常触覚を重視していないので、新たな

イメージで物事を考えることが出来た鉛筆とイヤホンは仕事に見立て、右の

方に配置した。スプーンはもちろん飲むも含んでいるので、不健康な生活を送

っていると再認識した触覚で見ると、発想が展開されると思う。(50 代、鍼

S:「どれも並べて迷ってしまいました何故かというと好き嫌いにかかわらず、

主婦であるということが一番ですので、掃除、洗濯、料理、これはいやおうな

く、多分80歳まで続くでしょうか。基本は健康でしょうか運動をしなけれ

ばとつくづく思いました。(70 代、主婦)」

T:「小物が提示された時に、何か質問があるなと感じていたので意識して触

ったが、コイン(丸)?鉛筆(角のある長形)が何なのか解らなかった?マ

ップより、一日を振り返ったが、気持ちの満足度が行動(くつひも)行動する

から、コインを使うより高いことがふりかえることができた。(50 代、SoHo)

U:「楽しい時間を過ごせましたこのマップを見て驚いたのが、一つ一つの

アイテムは身体的なものであるのに“快?不快”の軸で、精神的な健康のバロ

メーターを測る指標となることです。また、横軸“頻度”だけで考えた時に、

まず洎分の好きな事=頻度 思いがちでしたが、自分の生活スタイルや社会的

立場を考えた時に順番が変わりました自分を知るということで、とても“視

覚的”にも解りやすく、整理することができました。(30 代、医療関係)」

2-3-3.見えない対象者(全盲者)の場匼

V:「同じ聞くでも(音楽と雑音)、書くでも好きなこと、嫌いなことがあっ

て、作成する時に迷った自分がとても好きで、したいこと、でも視力の


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  • ばかあほう。间拔(まぬけ)

少年傻瓜 少年バカボン

  1. みんなにデクノ坊と呼ばれ 

  2. 连日本人都为了在全球化经济中生存而拼命奋斗,但是只有三星囷(弱小的)现代汽车就认为韩国经济很强大的傻瓜韩国人什么都不懂。

    日本人でさえグローバル経済の中で生き残る ことに必死なのに、サムスンや(弱小)现代自动车ごときをもって、韩国経済を强いと信じ込む马鹿韩国人は何もわかっていないよう ですね

  3. 本回答甴无锡乐语教育提供


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